男性の包茎手術に関して衝撃的な論文を発見しました。包茎手術をしていない人とした人での陰茎の感覚に関する詳細な研究です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17378847
BJU Int. 2007 Apr;99(4):864-9.
今回の論文はアメリカからの発表です。一般的な包茎手術のことを環状切除術(circumcision)と言います。アメリカでは新生児期にやるかやらないかの選択を迫られることが多く、包茎手術は約50%が受けているということもあり、日本人より断然多いです。将来の感染症予防の点から行われているようですが、その意義は色々な意味で結論がついていません。では早速見ていきましょう。
研究デザイン
・環状切除群と環状切除していない群の陰茎の感覚調査
・環状切除術をしていない群(uncircumcised)は50症例、環状切除術をした群(circumcised)は150症例
・fine-touch pressureという方法でどの程度感覚が鋭敏かを陰茎の19ヶ所において評価した。
いきなりの図ですが、この19ヶ所の感覚を詳細に調べることによって、包茎手術がペニスの感覚にどのような影響を与えているか調べています。ちなみに2から5、13から16は手術をするとなくなる部分のようで、その部分については環状切除群では評価していません。
これが結果です。白いバーは包茎手術を受けていない群、グレーのバーは包茎手術を受けた群です。
バーの高さが低いほど小さい圧力でも感覚があり敏感だということになります。
そうすると、赤で囲んだ最も敏感な部分は包茎手術で失われてしまっていることがお分かりになると思います。さらにいうと、3番のペニスで最も敏感な部分が失われてしまうのです。そして包茎手術した人はペニスの中で19番(いわゆる裏筋の部分)の傷跡が一番敏感になってしまうようです。これは大変なことです。
「まとめ」
包茎手術によってペニスの中で最も敏感な部分が失われてしまいます。
仮性包茎で安易に手術をするとペニスの感覚が変化することも心しないといけません。私は仮性包茎であれば手術する必要はないと考えています。包茎手術では傷や包皮のつっぱり、感覚のトラブルもあるので、手術を受ける際はよくよく考えた方が良いでしょう。ぜひ包茎手術をするかしないかで迷っている方は以下の本も参考にしてください
日本では仮性包茎に対するコンプレックスを植え付ける美容外科の広告や悪徳クリニックによる施術法・費用が問題視されています。
これ関して国民生活センターから「美容医療サービスにみる包茎手術の問題点」としてレポートが出ていますのでご確認ください。
包茎手術に関しては色々な論文がありますのでできるだけ紹介して、今後も啓蒙活動をしていきたいと思っています。
ちなみにこのページを掲載してから、本サイトに対する悪意のあるリンクが急増してきました。サイト自体の検索結果には影響しないと思われますが、恐らくはこのようなことを公表して欲しくないという方々がいらっしゃるのだと思います。泌尿器科専門医として、そのような事実も踏まえて、包茎手術に関して今一度みなさんに考えて頂きたいです。