ペロニー(ぺイロニー)病の原因・診断・治療

ペロニー病とは

ペロニー病(Peyronie disease)は日本語で陰茎硬化症、カタカナではぺロニー病のほかにペイロニーもしくはパイロニー病とも記載されます。主な症状は陰茎の曲がり(屈曲)ですが、そのために性行為や排尿に支障をきたすQOL(生活の質)疾患です。原因は陰茎海綿体を覆っている白膜に線維性のプラーク(かたまり)ができるために勃起時痛や陰茎弯曲が出現します。進行性の病気で徐々に弯曲がひどくなることもありますが、悪性の疾患ではありません。

なお日本では美容外科医が陰茎の手術を行うことが多いようですが、本来であればペロニー病は泌尿器疾患であり、その診断と治療は性機能を専門とした泌尿器科医の専門領域となります。当科では性機能外来において本疾患の治療経験のある日本性機能学会専門医が診療に当たり手術まで担当します。

ペロニー病に関するQ&A

1.ペロニー病の診断

ペロニー病は後天性の疾患ですが、先天的に陰茎が彎曲している場合は先天性陰茎弯曲症に当たります。まず触診で陰茎の硬結(硬い部分)を触れるかどうかを確認します。それに加えて、勃起時に硬結の方向に陰茎が曲がっていたらペロニー病の可能性が高いと言えます。また当院では初診時に前立腺癌のスクリーニング検査としてPSAの測定も行っています。

2. ペロニー病の頻度はどのくらいでしょうか?

ペロニー病自体は泌尿器科医でもめったに診察することはありませんが、欧米では一般に100人に7-8人程度とされています。高齢になるほど発生頻度が上昇します。

3.ペロニー病の原因は?

ペロニー病の原因ですが、諸々の論文より以下の原因が指摘されています。

  • 全身疾患:糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙
  • 性感染症や炎症:非淋菌性尿道炎、炎症性性器疾患
  • 手術:生殖器手術歴(特に前立腺全摘除術後)
  • ホルモン:hypogonadism(テストステロンの低下)
  • 遺伝的要因
  • 陰茎に対する外傷(trauma)

Accidents or surgical trauma:事故や手術による陰茎へのダメージ

Microtrauma during coitus:性行為時に伴う陰茎へのダメージ

4.ペロニー病の薬物療法は? [1]

ペロニー病は発症して数ヶ月は活動期であり、弯曲の進行、勃起時痛が持続します。この期間は手術適応ではないため、ケロイド防止のトラにラストやビタミンEの内服治療が主な治療です。薬物治療に反応し症状が改善するのは半数以下でありますが、発症から早期の内服開が重要です。

一旦出来上がったプラークに対しての局所注射は様々な薬物が検討されてきましたが、強力なエビデンスのある決定的な治療法はございませんでした。ところが最近米国において繊維成分を溶かすコラゲナーゼがペロニー病に対する注射治療としてFDAから認可されました。アメリカでの無作為ランダム化比較試験(RCT)でコラゲナーゼがプラセボと比較して、有意な屈曲と痛み等の改善を示しました。この結果ペロニー病の保存的治療として強力なエビデンスが出たといえます[2]。残念ながら日本ではまだ使用できません。

5.ペロニー病の外科的治療は何がありますか?

大きく分けてプリケーション法と、グラフト移植術があります。前者のプリケーション法は白膜に非吸収糸をかけて、反対側の陰茎を縮めることにより陰茎を真っ直ぐにする方法です。詳しくは先天性陰茎弯曲症の図を見てください。後者のグラフト移植術は体の一部分(足の静脈や口腔粘膜など)から硬結の欠損部にあてがう部分を採取して、手術に伴う陰茎の短縮を防ぐ方法です。最近当院ではグラフトとしてコラーゲン支持組織を使用して欠損部を覆い良好な成績を得ています。この方法だと静脈などを自分の体から採取する必要がないので、低侵襲な手術が行えます。このようなグラフト移植術は陰茎長が短い場合や硬結のために陰茎が一部分細くなっている場合を適応としています[3]。

手術に関する合併症ですが術後に勃起機能の一時的な低下や陰茎の感覚障害の可能性があります。術前に勃起機能が不良である場合は、術後EDのリスクが高まります。これらは徐々に改善することが多いです。

また、手術後に若干の曲がりが残存することがあります。手術においては可能な限り真っ直ぐに形成を行うように努力しておりますが、微妙な術後の彎曲に関しては性行為に問題がなければ経過をみていただく場合もあります。


当科の診療状況のまとめ

平均年齢は47.3±12.9歳、平均陰茎長は12.0±1.9cm、全例に陰茎硬結を触知した。

主訴は31例中、陰茎弯曲が4分の3であり、4分の1は勃起時痛もしくは硬結のみであった。

弯曲の向きは、上方弯曲が32%、下方弯曲が10%、左方弯曲が32%、右方弯曲が3%であった。

治療方法は薬物療法24例(78%)、手術療法6例(19%)、無治療経過観察1例(3%)であった。

治療効果の判定が可能だった中、薬物療法で35%が軽快した。

また合併症を有している症例は42%、喫煙者は58%であった。

問い合わせ

お問い合わせメール、もしくは泌尿器科外来に電話でお問い合わせください。その後のメールのやり取りで、勃起時の写真を添付して頂ければある程度の診断できます。お悩みの方は一度ご相談ください。

担当医 木村将貴

参考文献

[1] Shaw EJ, Mitchell GC, Tan RB, Sangkum P, Hellstrom WJ. The non-surgical treatment of peyronie disease: 2013 update. The world journal of men’s health. 2013 Dec: 31:183-92
[2] Gelbard M, Goldstein I, Hellstrom WJ, et al. Clinical efficacy, safety and tolerability of collagenase clostridium histolyticum for the treatment of peyronie disease in 2 large double-blind, randomized, placebo controlled phase 3 studies. J Urol. 2013 Jul: 190:199-207
[3] Langston JP, Carson CC, 3rd. Peyronie disease: plication or grafting. Urol Clin North Am. 2011 May: 38:207-16