重症EDに対する陰茎海綿体自己注射(ICI治療)

プロスタグランジン陰茎海綿体注射療法:自己注射が可能になりました

勃起障害(ED)は男性のみならずカップルの性的満足をも障害する重大な疾患です。バイアグラ、レビトラ、シアリスはいずれもPDE5阻害薬という内服薬ですが、約30%には効果が認められません。

 プロスタグランジンE1(PGE1)は、PDE5阻害薬無効や禁忌のED患者において海外では広く使用されている薬剤であり、世界80カ国+2自治領において陰茎海綿体自己注射(ICI)が承認されています。しかし日本では、患者さん自身での陰茎海綿体に薬剤を自己注射することは認められておりません。

 当院では自主研究ベースで、ICI治療があなたの病気に対して効果があるのか(有効性)、副作用がどの程度か(安全性)の調査を行なってきました。まず、あなたの病状について問診、診察および検査(血液検査)などを行った上で、このお薬を使用していただくかどうかを医師が判断します。

この治療の良い適応は?

重症の勃起障害、すなわちバイアグラ、レビトラ、シアリスなどの経口勃起補助薬(PDE5阻害薬)の効果のない方、副作用や禁忌薬服用により上記のお薬がお飲みになれない方たちです。重症のEDとなる典型例としては糖尿病によるEDや前立腺がん手術によるEDが挙げられます。以下のリンクはそれぞれの病態が詳しく書かれていますので、該当する方は是非ご参照下さい。

 上記のEDはいずれも末梢神経障害があり勃起の誘発物質であるNO放出が低下しているため、PDE5阻害薬は無効なことが多いのです。しかしながらプロスタグランジンE1は陰茎に直接注射することによってNOを介さず平滑筋弛緩作用を示すため陰茎への血流があれば勃起の維持が期待できます。

実際の注射法

初診時はスクリーニング検査と資料をお渡しします。2回目来院時に担当医師と一緒に陰茎に注射して頂き、自己注射の方法を習得して頂くと同時に、プロスタグランジンの効果判定を行います。1バイアル中にプロスタグランディンE1が20μg含まれています。このお薬を生理食塩水に溶かし性交直前に適切量を、取扱説明書に記載したとおりに陰茎内に自己注射していただきます。注射の間隔は24時間以上の間隔をあけていただきます。

 左手で陰茎を引っ張り、右手で注射器を持ち陰茎中央から根元のあたりを、斜め上から注射します。その際に海綿体を覆う膜を貫通する感触があるかもしれません。注射する場所は陰茎の表面を走る太い血管を避けるようにしてください。

実際に使用する注射器と針。極細針を使用しているため穿刺時の疼痛は少ない。

 その後、隔離された部屋でビデオを見ながら陰茎を刺激して頂き、陰茎硬度が十分かを判断します。通常は使用量が適切であれば5分から15分で勃起がおこり、30分から1時間ほど持続します。持続勃起症の副作用がないかを確認するために、注射後数時間程度は勃起が消退するまで院内にて待機して頂きます。2時間以上持続するようであれば、過量投与と判断します。最終的に希望があれば、ICIセットをお渡しすることになります。

有効性と副作用報告

当院でICIを導入した143症例のうち、48%が原因のはっきりしない器質性ED23%が糖尿病によるED20%が前立線がんや膀胱癌などの骨盤ない手術によるED4%が副作用や併用禁忌薬によりPDE5阻害薬の服用困難例でした。

 一般的に本治療の有効性は全ED患者の70%以上との報告です。 患者満足率は87-94%で、パートナーの満足率も86-90%と共に高いとされています。当院での印象では約8割強の方が性行為に十分な勃起が得られておりますが、今後詳細な検討が必要です。

 副作用に関する一般的な報告では局所の疼痛5%、 海綿体線維化0%、6時間以上の持続勃起症0.52%でした。

ICI治療をお考えの方へ

陰茎海綿体自己注射は、国の認可を得ていません。そのため、全国の性機能学会専門医が多施設共同研究によって臨床研究を進めて参りました。当院でも有効性の確認と安全性を担保するために平成26年から臨床試験の形でICI治療を開始した経緯があります。

 従って学会から正式に認定された性機能専門医不在のクリニックでの処方は原則的に認められておりません。さらに持続勃起症などの副作用等のレスキューができない状況では、個人輸入や美容外科・ED専門クリニックでのICI導入は危険な行為と考えられます。

 クリニックの多くは個人輸入したカートリッジ式インジェクターを使用しているようですが、衛生的にも疑問が残ります。最近は出張専門で診察し郵送で薬剤をお届けするICI専門クリニックもあるようですが、形態としては論外で違法性を帯びた医療行為だと考えます。

 ICI治療は継続使用後も薬剤の調整や副作用のチェック、正しい使用法の確認や離脱を防ぐ適切なフォローが必要です。自己注射自体は難しいものではありませんが、慣れが必要ですので適切な医療機関を選ぶことが重要となります。

費用について

 回数 金額(診療費含む・税込 2014年9月時点)
1回分 5900円
2回分 10,220円
3回分 14,530円
4回分 18,860円
5回分 23,180円
6回分 27,500円
7回分 31,820円
8回分 36,140円
9回分 40,460円

ICI治療は保険収載されておりませんので費用は全額自費となります。自己注射1回分=4,320円(内訳)タンデトロン20㎎ 1A、生食20ml 1A、針(1本)、注入器(1本)、アルコール綿(1枚)1回分。別途診察料、消費税が必要です。

問い合わせ

当院では、日本性機能学会の専門医がICI治療を担当しております。症例の蓄積も十分にあり、糖尿病による重症EDの方、前立腺や膀胱癌術後の方、PDE5阻害薬を使用できない方など、様々な方が、関東圏はもとより遠方からも受診され、勃起機能を取り戻しております。

 本治療に関してご質問がありましたら本ホームページのお問い合わせページからご連絡ください。ED診断、ICI治療は泌尿器科性機能外来で対応しておりますので、電話(泌尿器科外来直通:03-3964-8262)でご予約をお取りください。紹介状がない場合は選定療養費の5400円が必要になります。紹介状がなくても予約は可能です。

担当医 性機能外来 木村将貴