男性不妊症(原因・検査・治療)

帝京大学アンドロロジー診療:男性不妊に対する取り組み

8夫婦中1夫婦はお子さんを作ろうとしてもなかなかできない問題に直面するといわれています。また不妊症の原因としては女性によるもの、男性によるもの、男女両方に原因があるものに大別されます。その中で、男性によるもの、男女両方に原因があるものを合計すると男性因子による不妊は実に40-50%を占めるといわれています。

帝京大学泌尿器科は以前より男性不妊に力を入れてきました。現在では積極的に男性不妊症に対する診療を行っている数少ない大学病院の一つです。パートナーの状態も考え、患者さんに適したベストな治療方法を相談しながら決めていきます。

不妊治療において男性は精子の提供だけはなく、負担のかかる奥様のサポートし、夫婦ともに不妊治療に向き合うことが大事だと思います。また、上の図にあるように48%は何らかの形で男性が原因になっていますので、妊活をしてなかなか妊娠できなかったら、早めに男性も検査を受けましょう。まずは何の苦痛もない精液検査を受けて下さい。また、男性の検査をすることによって、流産や繰り返す顕微授精のリスクを減らすことができます。一般的に不妊症男性は精巣がんの確率や、何らかの合併症が隠れているともいわれています。将来のお子さんのために帝京男性不妊外来に来てみて下さい。

男性不妊外来の特徴

  1. 初回検査はすべて保険診療で行います。紹介状なしでも受診可能です。
  2. 診断と治療は不妊治療に経験豊富な泌尿器科生殖医療専門医が行います。
  3. 迅速な診断と治療を重視しています。可能な限り早めの手術ができるように配慮をしています。
  4. 精液検査用の個室を用意しています。トイレや院外で採精することはありません。
  5. 必要時には当院産婦人科や連携クリニックに今後の不妊治療をお願いしています。
  6. 一部のクリニックにおいては過剰診断、過剰医療になっているように見受けられます。当院では公正な診断と治療をモットーとしています。

以上のことを心がけて診療しています。よろしくお願い致します。

男性不妊の原因は

精子を作るのは精巣です。精巣の中には精細管という直径200-300 ミクロンの細いひも状の組織が詰まっています。精子形成の過程では、その精細管の外側から内側に向かって精子が造られ、精巣の上に付着している精巣上体へ移動します。その後の精子の通り道として、精巣上体から精管を通り、前立腺内の射精管へ開口し、射精時に精嚢内の精液と混じって尿道から外へ射出されます。

男性不妊の原因は大まかに、①精巣の中で精子が正常に作られない造精機能障害、②精子の通り道が塞がっている精路通過障害、③射精や勃起がうまくいかない性機能障害に大別されます(下図参照)。

精液検査が悪い場合とは?

男性不妊の多くは乏精子症精子無力症など、精巣で精子を作る働きが低下していて精子濃度や運動率が低下したために起こります。

無精子症とは?

精液中に精子がいないことを無精子症といい、大まかに①精子の通り道の途中に問題がある場合と②精巣が精子を作る機能がない、もしくは極端に低下している場合があります。精巣の機能低下による無精子症は後述するmicroTESEによって精子を採取できることがあります。

男性不妊の自己チェック

男性不妊の可能性は自分の陰部をチェックすることである程度自己診断できます。例えば精巣の大きさや精巣のコブ(精索静脈瘤)のようなものです。例えばお風呂に入った時など、陰嚢がだらんと弛緩しているときに、触ってみて睾丸の周囲にボコボコがあるか、ミミズのような血管が浮き立っていないか、自己チェックしてみましょう。思い当たるようなことがあれば男性不妊外来を受診しましょう。

さらに最近ではスマートフォンで自分の精子を観察できる商品もあります。このような商品を使えば、ある程度セルフチェックできます。

生活上の注意点

精液検査の悪化は様々な原因があります。以下に参考記事を挙げます。

生活習慣や食生活が悪い方は不妊治療を行なって行く上で見直さなければなりません。妊活には男性も自助努力が必要です。

当科で可能な検査について

男性不妊の診断に必要な検査はほぼカバーしています。
精液検査のほかに、問診、精巣容積測定、精管の触知の有無、精索静脈瘤の有無のチェックのための診察と超音波検査、血液検査による内分泌機能のチェックを行います。
無精子症の患者さんの数%に染色体異常を認められることが知られておりますので、その際には染色体検査を追加で行うことがあります。場合によってはMRI等の画像検査を行うことがあります。

(現在スクリーニング目的の精液検査は行っておりません。精液検査の結果を持参の上、受診ください。婚姻関係がある方で、精液検査ご希望の場合は杉山産婦人科新宿をご紹介しております。あらかじめご了承ください)

男性不妊の手術

男性不妊外来での治療は内科的治療と外科的治療の2つに分けられます。男性不妊症に対する手術は手術用顕微鏡を使用して行う顕微鏡下手術(マイクロサージャリー)が主流であり、顕微鏡手術のトレーニングが必要になります。

[English Version]

日本ではこれらの手術を実施できる医師は大変少ない状況です。

受診までの流れ

男性不妊外来を受診されるかたは、お問い合わせから外来受診までに2週間から1ヶ月程度をみて下さい。

  • 受診ご希望の方は予約専用電話03-3964-1498で男性不妊外来のご予約をお取りください。
  • 紹介状がなくても予約は可能ですが、紹介状がない場合は選定療養費の5400円が必要になります。詳しくは以下のリンクを参照してください。
    「外来受診の手続き|外来のご案内|帝京大学医学部附属病院」
  • 男性不妊外来は木村将貴(泌尿器生殖医療専門医)が担当します。

個別の手術に関して「相談メール」のページから、お気軽にお問合せください。

連携医療機関(男性不妊外来あり)

  • 松本レディースクリニック (池袋駅東口北より徒歩6分)

http://www.matsumoto-ladies.com

  • 陣内ウィメンズクリニック(自由が丘駅南口から徒歩5分)

http://jinnai-womens.com

  • 恵愛生殖医療医院(和光市駅から徒歩1分)

http://www.tenderlovingcare.jp

  • 両角レディースクリニック (銀座1丁目から徒歩1分)

    https://morozumi-lc.com

  • 杉山産婦人科(新宿・丸の内)

    https://www.sugiyama.or.jp/shinjuku/