以前から男性不妊と食事の関係は議論されていますが、今回は精液検査と食生活について詳細な研究結果が超有名雑誌JAMAから報告されたのでお伝えします。
Association of Dietary Patterns With Testicular Function in Young Danish Men
この論文はCNNニュースからも報道されており「質の悪いファーストフードは精子とテストステロンを低下させる」というタイトルで紹介されています。
研究の背景
全世界の総精子数はこの38年間で60%程度に減少したことが報告されています。それと同時に男性のテストステロンレベルも低下し続けていると言われています。なぜそのような現象が起こっているのか、誰も確かなことは分かりませんが、放射線、大気汚染、食事・衣類・水分中の化学物質による影響の議論が沸き起こっています。また喫煙や飲酒、肥満などが影響することも重要です。そのような数多ある影響の中で食事は日々我々が身体に取り入れているので、大変重要な要素です。
研究の概要
この研究は平均年齢19歳の2935人のデンマーク男性が対象です。136種類の食事の種類からどれを頻繁に食べているか徹底的に調べました。そして食事のパターンを以下の4つに分類しました。
- 賢明な健康食パターン:魚、チキン、野菜、フルーツ、天然水を主に食べる
- オープンサンドイッチ(デンマークスタイル)パターン:加工された肉製品、冷凍魚製品、全粒小麦パン、ケチャップやマヨネーズなどの調味料、乳製品
- セミ菜食主義者パターン:大量の野菜、豆乳、卵、赤肉やチキン食べないかわずかしか食べない
- 不健康なジャンクフードパターン:ピザ、スナック、フライドポテト、甘味料添加飲料水、デザート、加工肉製品、高度に加工処理された穀物
このグラフは対象の食事内容を詳細に分析、その結果上記4パターンにグループ化したことを示しています。
精液検査の結果ですが、健康食パターングループの総精子数はジャンクフードパターングループと比べると実に4300万匹も多かったということです。上のグラフを見ると運動率や正常形態率もだいぶ違いますね。
そして精子への影響が良いから悪い順に並べると「賢明な健康食」→「セミ菜食主義者」→「デンマークスタイル」→「ジャンクフード」となります。
「まとめ」
4つの食生活パターンを見てると、現代人で特に忙しい若い人はどうしてもファーストフードを食べがちだと思います。でも、もし少しでも自分の精子の質を良くしたければ、ジャンクフードを食べることは控えた方が良いですね。これまで男性不妊症の方への生活指導として食生活については抗酸化物質である野菜やフルーツ、また亜鉛などが入っている食物を勧めておりました。今回の研究結果を考慮すると精子に良いものを食べるのも大事ですが、ジャンクフードなどの精子に悪い食べ物も積極的にやめていただいた方が良さそうですね。