痛みを伴う精索静脈瘤の外科的治療の恩恵を受ける人は誰か?

精索静脈瘤の手術適応は男性不妊だけではありません。同じくらいの割合で、精巣の違和感・不快感で手術に踏み切る方たちがいます。今回は、そのような痛みを伴う精索静脈瘤症例において、どのような状態が、また手術アプローチが一番良いのかというテーマで論文が出ていたのでご紹介します。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27074742/

 

「研究デザイン」

メタアナライシスといって複数の論文を統計学的手法を用いて総合的に評価し結論を導いた論文です。具体的には1974年から2015年にpublishされた12論文を評価しています。それでは早速みていきましょう。

まずこの図は、静脈瘤のグレードと治療効果についての結果です。精索静脈瘤はグレード1から3まであり悪化に伴いグレードが高くなります。本検討ではすべてのパターンでグレードを比較しても治療効果に差はありませんでした。

次に痛みの質と治療効果についての検討です。いろいろな痛みがありますが、精索静脈瘤の痛みとして最も典型的な鈍い痛み(鈍痛)がある人が最も治療効果が高い結果でした。

最後に手術方法と治療効果についての結果です。高位結紮よりも低位結紮、腹腔鏡よりも顕微鏡下の方が治療効果は高かったようです。

 

「まとめ」

論文の結果をまとめると以下のようになります。

手術の恩恵を最も受ける人は

  1. 静脈瘤の程度(グレード)は関係ない。
  2. 鋭い痛みより鈍い痛みの人。
  3. 顕微鏡手術を選んだ人。

以上です。精索静脈瘤で痛みがある方は参考にしてください。