サブクリニカル精索静脈瘤に対する顕微鏡下精索静脈瘤低位結紮術は精液所見を改善させる⁉︎

この論文はUrologyというアメリカの泌尿器科系の雑誌に2018年に掲載されたものです。サブクリニカル精索静脈瘤(subclinical varicocele)というのは表面からは見えない、触らない精索静脈瘤のことで主に超音波検査によって発見される精索静脈瘤のことです。一方クリニカル精索静脈瘤(clinical varicocele)というのは診察した際に腫瘤として視認できる、もしくは触ることができる精索静脈瘤のことで グレード1から3まで分類されます。現行のガイドラインではサブクリニカル精索静脈瘤は手術対象ではありません。しかし、このような論文が積み重なることによってガイドラインも変わってくる可能性もあります。では早速内容を見てみましょう。

 

研究デザインは顕微鏡下で精索静脈瘤手術をした190症例を検討したものです。まず治療の判定基準として手術前後の総運動精子数(total motile sperm count: TMC)を評価しています。さらに術後にTMCが改善して精液所見が体外受精(IVF)レベルから人工授精や自然妊娠レベルにup gradeした割合を検討しています。ちなみに、この評価方法は臨床に即していて良いですね。

 

結果ですが190症例の中に46症例のサブクリニカル精索静脈瘤が含まれており、クリニカル精索静脈瘤144症例との比較検討になりますが、クリニカルもサブクリニカルもTMCが同等に改善したという結果でした。またupgradeの割合も同等ということで、臨床的に意味のある精液所見の改善がサブクリニカル群にも認められたということです。

 

「まとめ」

実際の臨床(real world)では積極的治療を望む男性不妊患者さんにはサブクリニカルであっても手術を提案することはあるでしょう。そのようなケースでこの論文はインパクトがあり、手術をお勧めする根拠となるかもしれません。しかし論文の趣旨を取り違えて過剰診断&過剰治療へ誘導する根拠になる可能性もあります。私はmisleadingを起こさないためにも今後は超音波診断の方法論について議論されるべきかと考えています。

 

文責 木村将貴