勃起障害の初期治療(PDE5阻害薬)

PDE5阻害薬はどのような時に使用するのですか?

勃起障害の原因には大きく分けて器質性(体の問題)と心因性(心の問題)があります(参照ページ:勃起障害の診断)。どちらも「クエン酸シルフィナデル(商品名:バイアグラ)、バルデナフィル(商品名:レビトラ)、タダラフィル(商品名:シアリス)」などのPDE5阻害薬の有効率が高く、副作用が少ないために多く用いられます。約70%の場合に有効性が見られる最も有効な治療法ですが、初期治療の失敗の多くは不適切な服薬指導により、薬剤の効果や服用方法を間違って認識しているためであり、処方する医者は丁寧な説明が必要です。

PDE5阻害薬の特徴とは?

PDE5阻害薬は勃起のメカニズムに直接働きかけることで勃起を起こしやすくする薬剤で、精力剤のようなものではありません。分解酵素PDE type5が減ることでcGMPが増加、海綿体へ血液が留まりやすくなり勃起を促します。

PDE5阻害薬は医師が処方する薬です

このお薬をインターネットを通じて入手、友人から譲り受けることはお勧めできません。その中に偽物が高確率で含まれており、死亡例も報告されているからです。我々の調査でも日本でPDE5阻害薬を服用した半数程度の方が、インターネットもしくは友人から譲り受けたという調査結果が出ており、無視できない問題です[1]。PDE5阻害薬は必ず医師の処方箋のもとで入手してください。安いからといってインターネットの販売サイトからの購入は、健康の面からも、個人情報などのプライバシー保護の面、クレジットカードのスキミングによる経済的被害の面からも推奨できません。

PDE5阻害薬を服用するときの注意点

副作用が少ないと紹介しましたが、狭心症などへの投与されるニトロ製剤とは同時に服用できないため、専門医による慎重な評価と投与が必要になります。それぞれの薬剤の特徴を表にしました。

  バイアグラ®︎ レビトラ®︎ シアリス®︎
服用タイミング 性行為の1時間前 性行為の1時間前 性行為の2−3時間前
作用時間 2-3時間 2-3時間 36時間
食事の影響 食後では作用減弱 基本的に受けないが、高脂肪食では作用減弱 受けない
副作用 ほてり、紅潮、頭痛(10%以上)、めまい、高血圧 ほてり、頭痛(10%以上)、起立性低血圧、動機、鼻閉 紅潮、消化不良、背部痛、頭痛、鼻閉
禁忌 ニトロ製剤、アミオダロン塩酸塩 ニトロ製剤、抗HIV薬、抗真菌薬、透析患者 ニトロ製剤

上記の治療でも効果が認められなかった場合は、second lineである陰茎海綿体注射をお勧めしています。詳しくは以下のページをご覧ください。

重症EDに対する陰茎海綿体自己注射(ICI療法)

 

参考文献

[1] Kimura M, Shimura S, Kobayashi H, et al. Profiling characteristics of men who use phosphodiesterase type 5 inhibitors based on obtaining patterns: data from the nationwide Japanese population. J Sex Med. 2012 Jun: 9:1649-58