勃起障害(Erectile dysfunction: ED)の診断

病歴の聴取と評価

性機能外来の診断ではこれまでの病歴や健康状態などを充分に聞き取ることが重要になります。ここで性欲、勃起、性交、射精の状態を見極めます。この際、 ED問診票(International Index of Erectile Function:IIEF5)が広く用いられており合計が21点以上の場合はEDの可能性が高くなります。

また最近EHS(Erection Hardness Score)勃起の硬さのスケールもよく使用します。EHSは1から4まであり、分類は以下の通りです。

EHS1 陰茎は大きくなるが、硬くはない。
EHS2 陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。
EHS3 陰茎は挿入に十分硬いが、完全には硬くはない。
EHS4 陰茎は完全に硬く、硬直している。

EHS2以下であれば挿入ができない中等症から重症EDとなります。

血液検査によるスクリーニング

血液検査、内分泌検査などで体に問題がないかを調べます。血液検査で一般的な検査に加え糖尿病などEDリスクとなる疾患の有無、内分泌検査でLH, FSH, プロラクチン、エストラジオール、テストステロンなどのホルモン分泌について測定します。また、常用薬剤の影響などにも注意を払います。

器質性EDと心因性EDの鑑別

器質性EDとは臓器・器官の性質(器質)に問題がある場合のEDを指します。一方心因性EDは精神的な負担により勃起がうまくいかないEDです。例えばマスターベーションでは勃起するが、特定の相手に対しては勃起しない状態や、妊活中で排卵日に行為がうまくできないなど、状況によって勃起機能が変化する場合は心理的な影響が強いと判断できます。一方、問診でも鑑別が難しい場合は、夜間睡眠時勃起(NPT)を調べます。陰茎の機能に問題がなければ、通常は睡眠時に性的刺激を伴わない勃起が3-6回起こり、これを夜間睡眠時勃起(NPT)といいます。この特徴を利用し器質性 ED(体の問題によるED)と心因性ED(心の問題によるED)の鑑別を行います。NPTを計測するため、リジスキャンやエレクトメーターを用います。正常にNPTがあれば、器質性EDではなく心因性EDの可能性が高くなります。

器質性EDの精査

体の問題からEDになっている器質性EDですが、原因は様々です。具体的には陰茎への血液の流れに不具合がある血管性、神経伝達に問題がある神経性、ホルモン分泌に異常がある内分泌性と分類され、以下の原因疾患が認められます。

血管性 先天性、外傷、動脈硬化による陰茎への血流障害、海綿体静脈洞閉鎖不全など
神経性 脳脊髄、末梢神経疾患、外傷に伴うED。糖尿病による末梢神経障害によるものが多い。直腸癌や前立腺癌など骨盤手術後のEDも含まれます。
内分泌性 精巣機能不全による男性ホルモン(テストステロン)低値、下垂体、副腎、甲状腺の機能異常によるもの。

上記器質性EDの中でも特に重症例が多い前立腺癌手術によるEDと糖尿病によるEDをまとめています。

当てはまる方は、参考にしていただければと思います。

血管性EDの精査

血管障害については、血管を拡張させる作用のある物質(プロスタグランジンE1)を陰茎海綿体に注射し勃起の程度を確認することもあります。血管系の機能が正常であればこれで勃起が起こります。同時に、カラードップラー超音波検査によって動脈性の血流障害や静脈性の閉鎖不全状態も見極めます。特に若年性で器質的EDを疑う方は、このような検査を行います。

血管カテーテル造影による診断と治療

特に若い方では心因性EDが否定的な場合、診断に苦慮することがあります。そのような場合は陰茎ドプラー検査や造影アンギオCTで血管性のEDがないか調べることになります。血管性EDが疑われた場合は、放射線科に依頼して内腸骨動脈から分岐する内陰部動脈の末梢枝である陰茎背動脈や陰茎海綿体動脈の血管造影を行ない閉塞部位を確認することが可能です。さらにカテーテル治療により陰茎に流れる血管を拡張、血流を改善させ治療する試みも行っています。

EDの各種治療については以下のページを参考にして下さい。