12歳から19歳くらいまでの青年期に精索静脈瘤を認めた場合、手術をするかどうかは日々の診療で悩むところです。その問いを払拭してくれるような論文が発表されました。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28153511
手術適応とされる絶対的な基準は以下の通りです。
- 精巣容量が健常側よりも2mlもしくは20%低下している。
- 15歳以上で精液検査が異常である。
この論文では12歳から19歳の青少年408名で、286名で当科でも行なっている顕微鏡下精索静脈瘤手術を施し、残りの122名は手術を希望されなかったため、対照群としてフォローされました。その結果、経過観察と比較すると、手術をした方は精液所見が改善され、父性獲得率(将来的に子供ができる確率)が48%から77%に上昇していることが判明しました。さらに夫婦生活をしてからの子供ができる期間も17ヶ月から11ヶ月に短縮されたようです。単変量解析では青少年期に顕微鏡下低位結紮術を行う事によって、経過観察するよりも3.63倍も将来的に子供ができる確率が上がるようです。
この論文では手術群の平均フォロー期間が10.7年に対して、経過観察群のフォロー期間が8.9年と少し短めなのが気になりますが、青少年の精索静脈瘤手術においてここまでのフォロー期間と結果を発表した論文も皆無であり、価値あるものと思います。
そしてやはり青少年への手術は侵襲が少なく、合併症や再発の低い顕微鏡下低位結紮術が良いようです。当科でも引き続きこの手術を積極的に進めたいと思います。
文責:木村将貴