射精障害:分類と対処法について

射精機能は脳の興奮と脊椎神経伝達、骨盤の筋肉収縮が複雑に関与する身体機能の一つです。ここでは射精障害について無射精、精液量減少、早漏、遅漏、膣内射精障害にわけて詳しく解説します。それぞれ原因は様々ですが、過去の性習慣、心理的負担、糖尿病による末梢神経障害が原因となっていることが多く、薬物療法からカウンセリングまで治療は多岐にわたります。また精神科のお薬が原因となっている場合は治療が難しいこともあります。

無射精(Anejaculation)

無射精は精液が出ない状態のことで、特定の状況によって起こる場合と、常に起こる場合があります。オルガスム(絶頂感)を得ることができる場合とできない場合があり、オルガスムが得られる場合はドライオルガスムという状態です。その原因として前立腺癌、前立腺肥大症の手術、糖尿病や多発性硬化症による神経障害、薬剤性、精路の閉塞、脊髄損傷、低テストステロン血症によるものがあり、診断するには検査して鑑別する必要があります。

射精機能低下(精液量減少、勢いの低下、オーガズム低下)

一般的に年齢と共に射精機能が低下していきます。射精機能低下は「精液量の減少」や「勢いの低下」など射精の衰えとして自覚することが多く、多くの方がお悩みになっていることだと思います。また加齢により絶頂感(オーガズム)が徐々に低下することもあります。性機能外来ではそのような症状に対して、現状の把握と実践的な対処法を説明しています。また「病院へ行くほどじゃないんだけど、、射精機能の低下を自覚している」と悩んでいらっしゃる方にはこちらの記事が大変参考なります。

射精の衰えを感じているあなたへ −性の専門医が伝えたい7つのこと−

逆行性射精 (Retrograde Ejaculation)

逆行性射精は無射精の原因としては多く見られ、射精時に精液が尿道側ではなく、膀胱側に逆流してしまう現象です。糖尿病による末梢神経障害、前立腺の手術、薬の副作用(抗精神病薬など)が根本的な原因になっていることがあります。挙児を希望される方は不妊になってしまいます。尿中から精子を回収する方法もありますが、精子の質が悪くなるため、当科では精巣内から精子を採取する方法をとっています。それ以外の方は、放置しても害がないため治療は必要ないことが多く、薬の変更など原因となっている要因を取り除くことが出来ない場合は治療することは困難な場合が多いです。

早漏 (Premature Ejaculation)

持続時間に関して明らかな定義はなく、本人とパートナーがどの程度早漏に悩んでいるかによります。早漏は国際性機能学会の定義では、1分間未満の射精とありますが、これは臨床研究のために定義された意味合いが強く、実際に自分が早漏と感じるのは2分以内に射精してしまうケースが多いようです。

世界的にはDapoxetine(Priligy)がPEに対して最も多く処方されていますが、本邦では認可が下りていません。抗うつ薬であるSSRIや痛み止めであるトラマドールが早漏に効果があることもあり、off label (適応外)ではありますが、使用されることがあります。

遅漏 (Delayed Ejaculation)

どのくらいの時間性行為が続けば良いかという国際的な定義はありません。持続時間は様々な要因によって左右されます。例えば、加齢によりオルガスムに到達する時間が長くなる場合があります。

性行為時間は国際的にはIELT (intervaginal ejaculation latency time)で評価されます。これは膣内挿入から射精するまでの時間で、世界平均は5.4分とされています。遅漏の多くは射精に30分以上のIELTが必要になります。

現在これを改善するための具体的な治療法はありません。その原因を取り除く治療が主体となり、治療が困難な場合もあります。

膣内射精障害

自慰による射精はできても膣内で射精できない状態のことを言います。諸外国からの報告は少なく、日本独自の概念かもしれません。原因として、間違ったマスターベーションの仕方、心因性、勃起障害によるものがあります。当科ではカウンセリングや薬物療法を行なっています。

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